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- 伊賀焼について教えてください。

 

伊賀焼についてですね。 大体焼き物は六古窯といって、

備前・信楽・越前・常滑など色々あるんですが
中国大陸や朝鮮半島を 渡ってきた釉薬(ゆうやく)を掛けて焼く
焼き物が一般的なんです。

ところが伊賀焼では、釉薬は一切使用しません。

薬を掛けずに 燃料(木材)を燃やすと灰が出ますと
窯の中で陶器に付着して "わび・さび"の色を出す。
これが伊賀焼独自の模様となります。

伊賀焼の模様は木材の灰で出来ていて窯の中の
酸素・温度などの条件が重なって織りなす自然の景色です。

これは日本の伝統の凄さですね。


伊賀焼というのは勝手に私が言ってるだけかもしれませんが、
武士の中の武士、男の中の男だと思っています。


- 模様は焼く前から予測出来ますか。

 

普通の釉薬を掛けて作る焼き物というのは、
化学の世界なんですね。
酸化化合物・長石・珪石が何パーセント...といった具合に
科学反応によって「こうなる」と紙の上で計算が出来る。

頭の良い人は 「パッ」と計算を出来ますが、
僕らの(伊賀焼)は計算では出来ない。

自然の力に委ねて 経験とやる気で死ぬまでやれば
いつか「火の神様」がニコっと笑うかなと。

今の時代に馬鹿げたことですが
これが凄く神秘的な世界なんですよ。


- 片山先生はなぜ伊賀焼を作るのですか。

 

そうですね、昔の古伊賀は伊賀藩など、
私が知ってる範囲で藤堂高虎や筒井順慶が、
城主の時には彼らの保護のもとで栄えていたと考えられます。
そんな古伊賀の本物の陶器を見ますとね、
伊賀焼から溢れ出る力強さに思わず身震いしました。

それで若いときに一回の人生をこれ(伊賀焼)に
賭けてみたいと思いました。 一種、男のロマンですよね。

そして手間の掛かる伊賀の五度焼きなどは、
誰かがやらないと本当に廃れてしまう。
私は全部の作品で五度焼きをするわけではありませんが、
足腰が立つ内はチャレンジして死にたいなと思います。

一回の人生、使命感をもつというか...
生意気な事を言うようですが、ある程度歳をとって物事に
チャレンジ出来るというのは凄く幸せなことなんですね。

あと何年生きるか分からないですからね。
私は今の今を真剣に生きてみたいと思います。

片山 雅昭    

Column No.2 | 伊賀焼の魅力

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